2016年4月(卯月) 「涙」と「笑顔」の効用
二十四節気・・・
清明(せいめい)4月4日 清浄明瞭の略で、万物が清らかで生き生きしているという意味。
穀雨(こくう)4月20日 春のやわらかな雨が降り、食物が育ち、芽が伸びるという意味。
春は、卒業、入学、異動や引越しのシーズンです。
別れや出会い……
一年を通して、「涙」と「笑顔」がもっともあふれる季節ではないでしょうか。
今月は、この「涙」と「笑顔」についてのお話です。
涙の効用
目を潤うために流れている基礎分泌による涙や、花粉症など何かの刺激で出る涙。
そして、感情を伴って流れる涙。
前者と後者では、何か違うのでしょうか?
実は、涙に含まれる成分に違いがあるそうです。
感情などの情動が伴う涙には、副腎皮質刺激ホルモンが含まれています。
副腎皮質刺激ホルモンとは、ストレス反応に伴って分泌されるホルモン。
つまり「情動が伴う涙を流すと、ストレスも体外に排出される」ということになります。
これは、映画やTVドラマを見て泣いた時も同様です。
泣いた後にスッキリする経験は、誰もに覚えがあるでしょうが、
これは、ストレス発散になっているからだったのです。
うつ状態になった方の中には、悲しい時にグッと堪え、泣かずに頑張ろうとする傾向が見られます。
しかし、生体のメカニズムからすると「泣く」ことが正解!
悲しい時やつらい時には、思いっきり泣いたほうが、感情のしこりが解消されやすくなりますよ。
涙には、さらに副交感神経が優位になることで免疫細胞のリンパ球を増やし、免疫力を高める効果も。
感情の表出をしないでいると、感情自体が鈍くなってもしまいます。
泣きたい時は……大いに泣きましょう!
笑顔の効用
昔から「笑う門には福来たる」とか、「笑いは百薬の長」「笑いに勝る良薬なし」
などの諺(ことわざ)があるように、
笑うことで、幸福になったり、健康になったりするといわれています。
実際に、ガン患者を含む19人に吉本新喜劇を3時間見て大笑いしてもらい、
その前後でガン細胞を攻撃するNK細胞を検出したところ、活性度が増したという実験結果も。
大笑いすればするほど、効果は高まるそうです。
皆さんは、日頃、大笑いすることはありますか?
会社内で、淡々とパソコンに向かって雑談する場面がない、家庭内で、個々の部屋に閉じこもり団欒の時間が少ないなんてことはありませんか?
笑うことは、体だけでなく、脳内の血流も良くし、認知症予防や記憶力・集中力・免疫力アップ、
また、エンドルフィンやセロトニン、ドーパミンといった脳内ホルモンを出し、鎮痛作用や幸福感をもたらします。
もちろん、周囲も和やかな雰囲気となり、集団のストレス解消になるのはご存じの通り。
大きな声で笑わなくても、口角を上げて笑顔を作るだけで、筋肉の動きから、脳に「笑った」と伝わり、脳内ホルモンが分泌されるそうです。
最後に、ご紹介するのは、『幸福論』を著したフランスの哲学者アランの言葉
「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」
実践してみる価値はありそうですね。